研究概要 |
3年間の研究にて放射線感受性の高いAtaxia Telangiectasia(AT),Nijmengen syndrome由来の細胞、正常細胞、腫瘍細胞を用いてATM、NBS1等の遺伝子抑制による感受性増感効果を検討した。細胞周期が静止期と増殖期で比較した結果から、ATM遺伝子抑制によりNBS1遺伝子欠損細胞、正常細部尾、癌細胞すべてで放射線に対する増感効果が見られた。また、NBS1遺伝子抑制により静止期での細胞はやはり放射線増感が見られた。染色体解析からは、いずれにおいても誤った修復が顕著であった。興味深いことは、ATM阻害剤によりNBS1異常細胞の放射線感受性は亢進したが、MBS1阻害剤によりAT細胞の感受性はあまり上昇しない結果が得られつつある。このことは静止期ではNBS1の上流にATM遺伝子がいる可能性を示唆する。この結果はAT細胞にはPotentially lethal damage repairが欠如しているが、NBS1異常細胞にはPLDRが保たれていることと関係があると考えられる。マウスに腫瘍細胞を移植し、静止期細胞をBURD陰性細胞として扱う実験を行っているが、現在のところ、静止期、増殖期の鑑別が困難であり、今後も研究を継続したい。なお、静止期と増殖期の細胞の感受性の違いを示す論文をRadiation Researchに投稿し、掲載された。現在、AT細胞、NBS1細胞における細胞周期による感受性研究に関しては論文投稿中である。
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