頭頸部癌細胞株HSC4を用いたscrape loading assayでは、gap junction inhibitorであるlindane (50uM・100uM)処理ではlucifer yellowの拡散の制限があるように見えたが、control・DMSO(lindaneの溶媒)との比較では有意な差を認めなかった。同様の結果は他の頭頸部癌細胞株CAL27・SCC23でも認められた。 次に、コントロールとして平面培養時のMDCK細胞株につき、lindane添加によるγ線感受性の変化を調べたところ、DMSO処理ではcontrol(無処理)に比べ若干感受性が低下する傾向が見られたが50uM lindane処理ではcontrolと比較し感受性に有意な変化を認めなかった。HSC4・CAL27も同様、lindane処理によるγ線感受性の変化は見られなかった。 RT-PCRおよびWestern blottingによるmRNA・蛋白レベルでのconnexin43の発現を調べたところ、mRNAレベルではMDCK・HSC4・CAL27いずれでも発現が見られたのに対し、蛋白レベルでは2種の 異なる1次抗体を用いた結果、1つの抗体ではMDCKのみ、他の抗体ではHSC4のみに発現を認めた。CAL27はいずれの抗体でもconnexin43の発現が見られなかった。 上記Western blottingの結果のいずれが正しいのかを調べるために、MDCKを用いてconnexin43の免疫組織染色を試みたところ、バックグラウンドと思われる染色像を認めたのみで、期待される細胞-細胞間には明らかな染色を認めず、継代中にMDCKが形質転換してしまった可能性が考えられた。 現在、細胞バンクから新規にMDCK細胞株を購入し、上記の実験を再試する予定である。
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