研究課題
放射線により抗癌剤を放出する2つの型のマイクロカプセルを、ヒアルロン酸とアルギン酸のFe^<2+>重合を用いて開発する。すなわち、1) 皮下注射型マイクロカプセルと,2) 静脈注射型マイクロカプセルの2つの型である。これらについて、平成22年度に以下の実験を施行した。1) 皮下注射型マイクロカプセル:従来のマイクロカプセルは、アルギン酸-ヒアルロン酸をCa^<2+>で重合して作成していたが、重合をCa^<2+>からFe^<2+>に変更し、さらにH_20_2を添加したところ、Flicke線量計と同等の反応がカプセル内に引き起こされ、Fe^<2+>がFe^<3+>に変換、アルギン酸-ヒアルロン酸のFe^<2+>重合が破綻しすることで皮下注射型マイクロカプセルの内容放出率が促進された。これは、放射線分解型薬剤標的療法の実用化に寄与する意義がある。また、Flicke線量計と同じ反応が起きること、Fe^<2+>がFe^<3+>への変換がMRIでイメージング可能なことより、線量分布イメージングの可能性が示唆された。2) 静脈注射型マイクロカプセル:従来まで、カプセル標識抗体を、放射線で誘起されるP-selecinのみで標識していたが、これに、転移標的臓器に発現されるα3βV標識を加えると、転移巣に集積することがあきらかになった。これは、癌転移療法の治療に使用できる可能性が考えられた。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)
Int.J.PIXE
巻: 20 ページ: 30-36