平成23年度まで改良を加えた、放射線照射により抗癌剤を放出するマイクロカプセルを用いて、以下の項目を新たに実験した。すなわち、1) マイクロカプセルのavb3 (E[c(RGDfK)]2) の標識、2) 同マイクロカプセルによる初期転移巣への集積とCTによる描出、3) マイクロカプセルによる初期転移巣治療、の3点である。 1) マイクロカプセルのavb3 (E[c(RGDfK)]2) の標識:従来のアルギン酸-ヒアルロン酸-抗癌剤混合溶液に、アスコルビン酸を加え、カプセル混合溶液を作成した。本混合溶液を超音波破砕装置で振動を加えた重合液中にスプレーしてカプセルを作成したが、その際、従来のCa2+- Fe2+重合溶液にavb3 (E[c(RGDfK)]2)抗原を添加した。結果、カプセルがavb3 (E[c(RGDfK)]2)抗原で標識された。 2) 同マイクロカプセルによる初期転移巣への集積とCTによる描出:上記手技で作成したマイクロカプセルを、MM48 腫瘍を左下腿に移植したC3He/Nマウスの尾静脈に注射し、動態をCTで観測した。結果、初期転移巣へのマイクロカプセル集積がCT下で観測され、初期転移巣の検出率が向上した。 3) マイクロカプセルによる初期転移巣治療:初期転移巣に集積したマイクロカプセルに対し、放射線を照射した。結果、放射線に反応して放出された抗癌剤と放射線との相乗効果により、初期転移巣の数が有意に低下した。
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