研究課題/領域番号 |
20591505
|
研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
前林 勝也 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60332350)
|
研究分担者 |
中村 香織 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (40339023)
清塚 誠 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (90366344)
橋本 弥一郎 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (20385420)
|
キーワード | 膠芽腫 / 放射線治療 / 抗癌剤 / 分子標的薬剤 |
研究概要 |
予後不良な膠芽腫の治療成績の向上を目指すことを最終的な目標として、膠芽腫の術後後療法として今後の標準治療となる可能性のある分子標的薬剤と放射線治療の併用療法について、先行指標の解明や治療効果のメカニズムの解析などを基礎的に研究することで、膠芽腫の治療戦略を模索するための一つの基礎データとなることをこの研究課題では期待している。具体的方策としては、膠芽腫の治療として、分子標的薬の使用が有効なのか、放射線治療との有効な併用方法は何か、放射線治療との併用を行う場合の先行指標はあるのか、などを中心に研究する予定である。本年度は、検討予定の細胞株の、EGFR familyやKIT、PDGFR、PTENなどの変異の有無や発現の程度など、本来細胞株が有する分子生物学的性質の検討を進めている。また、放射線照射によるEGFRの変化についても実験をしており、放射線照射によるdimmer形成の誘導と自己リン酸化の増強が確認され、さらに、cetuximabと放射線照射との併用処理でこれらの反応が抑制され、治療効果の増感がみられた。一方、膠芽腫が治療抵抗性を呈する原因を臨床的に検討すべく、手術後の後療法として放射線治療を併用した2003〜2005年の症例についてretrosectiveにその治療効果を検討したところ、2年全生存率で33.8%、50%全生存期間で16か月と、これまで報告されている結果と比較して良好であることが分かった。しかし、照射野内再発に関しては88%と高率であったことから、膠芽腫の治療成績向上を目指す方法として、放射線治療の増感を効率よく起こす方法を解明することが一法であることが分かった。この臨床研究の結果から今後の本課題の方策としては、放射線増感を期待するような有効な分子標的薬剤の使用法の基礎的検討も視野に含めていくこととした。
|