研究課題/領域番号 |
20591505
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
前林 勝也 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60332350)
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研究分担者 |
中村 香織 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (40339023)
清塚 誠 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (90366344)
橋本 弥一郎 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (20385420)
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キーワード | 膠芽腫 / 放射線治療 / 抗癌剤 / 分子標的薬剤 |
研究概要 |
非常に予後の悪い膠芽腫の治療成績向上を目指し、現在までのところは臨床データの解析と分子標的薬剤と放射線照射の併用について基礎的研究をすすめた。 膠芽腫の治療抵抗性は高度であるが、若干悪性度の低い神経膠腫GradeIIIの治療効果は悪くない。さらに膠芽腫では増殖速度が速いという違いもある。当施設の2003~05年のGradeIIIと膠芽腫の症例をretrosectiveに検討すると、膠芽腫では2年全生存率33.8%、再発は33例中29例で照射野内は83%(24例)であった。Grade3では2年全生存率81.5%、再発は27例中10例で照射野内は80%(8例)であった。予後はGradeIIIで有意に良好であったが、再発例中の照射野内再発率は同程度であった。この結果と増殖速度の違いから、GradeIIIでも長い経過観察により膠芽腫と同じ再発率になってしまう可能性があり、膠芽腫の予後改善の一法に増殖速度抑制が重要と考えた。そこで、増殖に関与する因子にターゲットを絞って、放射線照射と増殖因子阻害薬の併用による放射線増感とそのメカニズムについて基礎的実験をすすめたところ、EGFR阻害薬との併用で有意な増感効果をみとめた。増感機序を明らかにする目的で、処理後のEGFRの下流に位置するRaF-1やErkの発現変化をみると、照射単独後にEGFRの発現増強が見られ、EGFR阻害薬の併用では発現が抑制されることが分かった。また、照射処理によるEGFRの活性化の機序としては、EGFRとHER2のhetero/homo-dimmer形成と自己リン酸化が関与している可能性を見出すことが出来た。他の因子に関しても同様な実験を行っているが、今後は、臨床データの解析結果から、各種の膠芽腫細胞を用いて増殖速度に最も影響を強く与えている因子を探索していくことが、膠芽腫の治療成績向上を目指す一法と信じて研究を進めていく予定である。
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