研究概要 |
予後不良な膠芽腫の治療成績の向上を目指すことを最終的な目標とした。まずは、基礎的研究として、今後の術後後療法として注目を浴びるであろう分子標的薬剤と放射線治療の併用療法について、放射線治療と分子標的薬の併用が有効なのか、放射線治療との有効な併用タイミングはどのようなものか、放射線治療との併用を行う場合にその先行指標はあるのか、などの検討をすすめつつ、さらに、膠芽腫の治療成績や再発パターンなどの臨床的性質を若干予後の良いGrade3の神経膠腫と比較して、その臨床的性質の差異と腫瘍のgenetic backgroundがどのような関係にあるのか、を中心に研究をすすめた。臨床データの解析から,予後の明らかに異なるGrade3神経膠腫と膠芽腫の間で,再発例中の照射野内再発の割合は80-85%程度とほぼ同程度であり,再発後の腫瘍増殖速度は膠芽腫で非常に速かったことから,膠芽腫の予後を改善する大きなターゲットは,増殖速度を抑制することだと仮定し,増殖に関与する因子を中心にin vitroでの基礎的研究をすすめた.その結果, EGFR 阻害薬の同時併用で放射線増感効果を認め,さらにその増感効果のメカニズムについても可能性のある事象を捉える事ができた.
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