研究分担者 |
宮崎 勝 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70166156)
吉留 博之 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (10312935)
加藤 厚 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (70344984)
竹内 男 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (20400822)
高野 重紹 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (20436380)
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研究概要 |
本研究では、過大侵襲時の重症感染症・臓器不全発症機序を明らかにする目的で、肝胆膵外科周術期における免疫担当細胞の動態を以下の観点から解析した。 1.過大侵襲時の免疫担当細胞[PMN,CD4+Tcells,CD8+T cells,CD19+B cells,CD56+NK,CD14+monocytes]におけるTLR-2,TLR-4、転写因子、mRNA、およびcytokine,chemokine発現の網羅的検索による細胞間・細胞内シグナル伝達の経時的変化の解析。 2.過大侵襲時のPMNにおける脂質Mediatorの代謝経路の解析。 3.術後重症感染症・臓器不全に関わる新たな血中分子マーカーの検索。 <結果> PBMC分画の解析:TLR2,TLR4 mRNA発現は術後持続的に増強し、術後3日以降に感染例が高値を示した(P<0.05)。P2X7 mRNA発現はHTX,PD術直後から持続的に増強し、感染例が低値を示した(P<0.05)。術直後のP2X7 mRNA発現はT-bet/GATA-3と正の相関を、術後合併症の重症度と負の相関を認めた(P<0.01)。A2A mRNA発現は術後一過性の上昇を示し、術後合併症と関連を認めなかった。 PMN分画の解析:PBMC分画に認められた術後感染や臓器不全との関連は認められなかった。脂質Mediatorの代謝経路にも術後感染や臓器不全との関連は認められなかった。 <結論>ATP-P2X7シグナルはTh1/Th2 balanceと関連し、術後早期の感染防御に関与し、TLRsは術後感染例における起因菌排除に関与する。過大侵襲時の重症感染症発症機序にはP2X7を介したDAMPSシグナルとTLRsを介したPAMPSシグナルが極めて重要な役割を果たすと考えられた。
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