実験1) 目的:Rho kinase inhibitorに代謝さるhydroxyfasudilのウサギ高脂血症腸骨動脈ステント留置モデルの内膜肥厚抑制効果について検討した。実験:コントロール(n=5) : 1.0%コレステロール餌をステント留置4週間前より標本摘出時まで投与。fasudil投与群(n=5) : hydroxyfasudil 30mg/kgをコレステロール餌に混ぜて投与.腸骨動脈にステント留置、4週後に標本を摘出。結果:摘出動脈の中枢・中央・末梢の3か所の任意の8か所で内膜・中膜を測定し内膜中膜比を計測。コントロール群3.4fasudil群3.7で有意差は認められなかった。 実験2) Ezetimibeの内膜肥厚抑制効果ならびにRho kinaseとの関連について 目的:次に我々は以前、スタチン製剤が自家静脈内膜肥厚を抑制し、Rho kinaseの活性抑制を明らかにしている。今回高脂血症薬として広く用いられているEzetimibeの内膜肥厚抑制効果ならびにRho kinaseとの関連を検討した。Ezetimibeは小腸コレステロールトランスポーター阻害薬として脂質代謝に作用する。また抗粥状動脈硬化作用等も報告されている。実験:ウサギ日本白色種を用いて外頚静脈での頚動脈自家静脈グラフトを作成する。さらに内膜肥厚を増強させるためにpoor run-offモデルを用いた。Ezetimibe投与群と通常飼料投与群で術後28日目に静脈グラフトを採取して静脈グラフト内膜肥厚抑制効果を比較検討した。結果:摘出静脈グラフトを4分割しプレパラートを作製、各プレパラートにおいて任意の8か所で内膜・中膜を測定し内膜中膜比を計測。合計32か所の計測の平均をそのウサギの内膜中膜比とした。内膜中膜比:コントロール群1.2、Ezetimibe群0.586で有意にEzetimibe投与群で内膜肥厚を抑制した。
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