研究課題
これまでの研究成果により、mTOR阻害剤であるラパマイシンは、in vitroでマウス膵島に対しオートファジーを過剰に誘導することを確認した。またラパマイシンは膵ベータ細胞からのインスリン分泌能を低下させ、さらに膵島自身のviabilityも低下させる作用を持っていることを明らかにした。さらに、GFP-LC3トランスジェニックマウスから分離した膵島を用いた研究でも、ラパマイシン投与によりin vivoでも膵島にオートファジーが誘導さることを確認できた。これらの結果からin vitroおよびin vivoにてラパマイシン投与は膵島のオートファジーを亢進することが確認された。今年度は、ラパマイシンにより膵島に誘導されたオートファジーとアポトーシスの関係をTMRE assayを用いて解析した。その結果、ラパマイシンにて処理した膵島ではアポトーシス陽性の膵島が有意に増加しており、7-AADによる染色では死細胞が有意に増加していることが示された。しかし、ラパマイシン処理時に3-methladenine(3-MA)を添加することでアポトーシスおよび死細胞のpopulationが有意に減少した。これらの結果より、ラパマイシンによる膵島傷害作用はオートファジー抑制作用を有する3-MA投与により部分的に改善されることが示され、膵島ではオートファジーはviabilityを低下させnegativeに働くことが示された。また、今回の研究でオートファジー過剰誘導とアポトーシスとの間にcross talkがある可能性が示唆された。これらの結果より、mTOR阻害剤を同種膵島移植の系に免疫抑制剤として使用する場合、オートファジーを抑制するストラテジーが必要となる。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件) 産業財産権 (1件)
Transplantation
巻: 27;90(12) ページ: 1366-73
Cancer Research
巻: 70(13) ページ: 5259-69
J of Surg Oncol
巻: 15;102(4) ページ: 308-14
Br J Cancer
巻: 9;103(10) ページ: 1617-26