研究課題
本研究の目的は、ヒト抗菌ペプチドの一種であるhBD3およびhCAP18/LL37の遺伝子を、組み換えウイルスベクターを用いて同時にヒト皮膚細胞へ導入し、抗菌活性の高い培養皮膚の作製を試みることである。平成21年度までに、hCAP18/LL37遺伝子をクローニングのうえ組み換えウイルスベクターを作製。同ウイルスベクターの感染による細胞株等への遺伝子導入につき検討した。また、LL37標準物質の緑膿菌に対する抗菌活性を確認した。平成22年度は、以下を行った。(1) 組み換えウイルスベクターの感染により、hCAP18/LL37遺伝子を導入したヒト培養表皮細胞および線維芽細胞について、導入遺伝子の発現、遺伝子導入細胞培養上清の抗菌活性を検討した。同ウイルスベクターを感染したヒト培養表皮細胞および線維芽細胞いずれにおいても導入遺伝子の発現が認められたが、各培養上清の各種菌株に対する抗菌活性はわずかであった。現在、活性型LL37の発現量、阻害因子の存在等について確認している。(2) hCAP-18/LL37遺伝子と既にクローニングしてあるHBD3遺伝子をIRSによりタンデムに連結したものを組み換えたアデノウイルスベクターを作製した。細胞株への感染により、導入遺伝子の発現を確認したところ、RT-PCRにてhCAP-18/LL37遺伝子およびHBD3遺伝子が同時に発現していることが確認された。来年度は、hCAP18/LL37遺伝子導入細胞からの活性型LL37の分泌を確認する。さらにhBD3・hCAP18/LL37両遺伝子の同時導入ヒト皮膚細胞培養上清の抗菌スペクトラム、hBD3および活性型LL37の分泌について検討する。
すべて 2011
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Burns.
巻: 37(1) ページ: 109-16