ヒト生体における種々の細菌、ウイルスなどの異物や癌細胞などの自己異型細胞に対応する自然免疫応答は主に白血球分画中のマクロファージ、樹状細胞、好中球、NK細胞、γδ型T細胞、NKT細胞などが担っており、これらの自然免疫担当は細胞表面のトールライクレセプター(TLR)が関与していると考えられる。平成21年度の研究にて、活性化培養したCD14細胞においてもTLRの発現が確認されたが、活性化培養したT細胞、γδ型T細胞、NK細胞ではTLR1~TLR10の発現は認められず、これらのリンパ球系細胞が活性化によってTLR1~TLR10の発現が増強することは認められなかった。また、単球をGM-CSFとIL-4にて培養して誘導した樹状細胞ではTLR9の発現が認められた。TLR4陽性のCD14陽性細胞及びTLR9陽性の樹状細胞におけるTLRからのシグナル伝達を解析するため、TLR4に結合するリガンドであるLPSとTLR9に結合するリガンドであるCpGを合成してそれぞれの細胞を刺激培養して、TLRからのシグナル伝達によるCD14陽性細胞及び樹状細胞におけるMyD88、TRAF6、NF-κB遺伝子発現の変化をreal time PCRにて解析を進めている。また、CD14陽性細胞及び樹状細胞をそれぞれCpGもしくはLPSで刺激した時のIFNγ産生をELISA及びELISPOTにて測定を進めている。最近、TLRを介するI型IFN産生にIRF7の関与が報告されており、今後はIRF7を含めたシグナル伝達系を解析していく予定である。
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