研究概要 |
本年度は、最終目的である手術時摘出乳癌組織を用いて乳癌幹細胞(CSC)の治療標的としての可能性の検証を中心に研究を開始した。 昨年度は、培養細胞に加え、ヌードマウス移植系を用いて、乳癌幹細胞の代表的マーカーとして扱われているCD44+/CD24-細胞分画の造腫瘍性(Tanaka, kubo et al., Anticancer Res 2009)およびHedgehogシグナル系がCSCの再生/維持に関与しており、治療標的となる可能性(論文作成中)を明らかにし、本年度は、最終目的として、これら実験成果の臨床検体による検証を計画した。 平成22年4月および5月の研究実績の概要を示す われわれが、現在開発中の免疫組織染色による染色強度の半定量法(Kai et al : 論文作成中)を用いて、17例のセンチネルリンパ節転移陽性例を対象に、乳癌原発巣およびセンチネルリンパ節におけるCD44+/CD24-細胞比率を解析し、リンパ節転移癌細胞における(P=0.0183)CD44+/CD24-細胞比率の増加を初めて明らかにした。現在、これら成果を論文へ投稿する準備に入っている。この成果は、Hedgehogシグナル系がCSCのリンパ節転移抑制のための治療標的となる可能性を示唆する成果である。
|