研究課題/領域番号 |
20591553
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
瀧藤 克也 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (00254540)
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研究分担者 |
堀田 司 和歌山県立医科大学, 講師 (50244744)
中村 公紀 和歌山県立医科大学, 助教 (80364090)
松田 健司 和歌山県立医科大学, 助教 (30398458)
奥 喜全 和歌山県立医科大学, 学内助教 (10453185)
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 教授 (20191190)
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キーワード | 脂肪乳剤 / 外科栄養 / 肝硬変 |
研究概要 |
リン脂質(乳化剤)として、われわれが長年研究を続けてきたphosphatidylglycerol(PG)で中鎖脂肪酸トリグリセリド(medium chain triglyceride、MCT)を50%含有した全く新しい静注用脂肪乳剤を作成し、この(1)新組成PG乳化MCT/LCT脂肪乳剤を(2)現在使用されているPC乳化MCT/LCT脂肪乳剤、と(3)従来の10%イントラリピッド乳剤と比較した。これら3種の脂肪乳剤を正常肝ラットに120分間持続投与し、5分、60分、120分後の血清および肝組織を採取し脂質分析を行った結果、新組成PG乳化MCT/LCT脂肪乳剤の血清中性脂肪は持続投与直後でも他の2剤に比べて有意に低値を示し、脂肪乳剤投与後の高脂血症の抑制効果が実証できた。肝組織内中性脂肪濃度は他の2剤に比べて高く、脂肪乳剤が速やかに代謝されて肝細胞内に十分取り込まれることが解った。さらに、TAA誘発硬変肝切除モデルに対し120分間これら3種の脂肪乳剤を持続投与しても、新組成PG乳化MCT/LCT脂肪乳剤の血清中性脂肪は他の2剤に比べて有意に低値を示した。特に他の2剤は投与終了120分後でも血清中性脂肪は高値を呈したのに対し、新組成成PG乳化MCT/LCT脂肪乳剤は正常肝に投与した時と同じレベルまで低下した。同時に、血清遊離脂肪の上昇も有意に抑制されていた。肝障害時に脂肪乳剤を投与すると、乳化剤として投与したリン脂質の血中濃度が上昇するが、新組成PG乳化MCT/LCT脂肪乳剤は硬変肝切除モデルでも血清リン脂質は全く上昇しなかった。同時に測定した血清HDLが新組成脂肪乳剤投与後より低値を呈したことから、新しい乳剤は肝硬変肝切除後でも血中で速やかにアポ蛋白を受け取り、肝臓に取り込まれ代謝されることが判明した。今後は肝に取り込まれた中性脂肪が有効に利用されているか、電子顕微鏡による形態学的観察および肝組織内ATP量を測定して検討する必要がある。
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