研究課題/領域番号 |
20591554
|
研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
横山 省三 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (90398462)
|
研究分担者 |
堀田 司 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50244744)
瀧藤 克也 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (00254540)
松田 健司 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30398458)
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
|
キーワード | CEACAM1 / 大腸癌 / 腺管形成 / 浸潤・転移 |
研究概要 |
大腸癌におけるCEACAM1の発現およびisoform balanceの変化が分化度および転移浸潤にどのように作用するかを検討するため、臨床検体の原発巣と転移巣での免疫組織学的検査、RT-PCRおよびウェスタンブロティシグを行った。正常大腸粘膜はCEACAM1-4S優位の発現であり、大腸癌ではRNAレベルでの発現低下は認めるも、蛋白レベルでの発現の低下は低分化腺癌の症例以外は認められなかった。免疫組織学的検査では、CEACAM1は腫瘍の先進部で強く発現しており、臨床病理学的検計からCEACAM1-Ldpminanceが独立した転移、予後不良因子であった。またCEACAM1は乳癌、前立腺癌と同様に管腔内で強い発現を認めた。特に腫瘍先進部において中空を伴う球体が存在し、その形成にCEACAM1が関与している可能性が示唆され、臨床病理学的検討からこの中空を伴う球体が転移および予後不良の独立した因子であった。基礎的検討としてCEACAM1-4Lを強く発現する大腸癌培養細胞LS174T、4Lお上び4Sの両方を発現するHT29について、分化誘導はMatrigelを便用した3次元培養で、浸潤能に関してはinvasion chamberにて評価したところ、CEACAM1-4Lを発現するLS174TにCEACAM1をknock downまたはCEACAMI-4Sを遺伝子導入すると有意に管腔形成が低下し、浸潤能も低下した。4Lおよび4Sの両方を低発現するHT29はCEACAM1-4Lの遺伝子導入により管腔形成は亢進し、浸潤能も亢進した。CEACAM1-Lの発現のより悪性度が高くなることが明らかとなり、CEACAM1-Lのコントロールにより浸潤転移を制御できる可能性が示された。現在、CEACAM1をknock inまたはdownきせる動物実験系およびRetinoic acidによるCEACAM1誘導の実験系を構築しCEACAM1の分化誘導と転移浸潤抑制に関する意義を検討中である。
|