研究概要 |
本研究は乳癌の化学療法投与直後におこるBRCA1を中心としたDNA修復経路の反応を、臨床検体を用いた免疫染色と培養細胞を用いたプロテオミクスで解析し、Basal-like乳癌およびbasal-like乳癌に類似したDNA損傷応答を示す乳癌においてDNA損傷修復能が薬剤感受性の指標になりうるかを明らかにすることを目的として研究を行った。 1.乳癌針生検検体の解析 聖マリアンナ医科大学乳腺・内分泌外科にて術前化学療法としてシクロホスファミド+エピルビシンを施行した原発性乳癌症例60例について初回化学療法施行後18-24時間に針生検を施行し、化学療法施行前(baseline)の針生検検体と伴に乳癌細胞核内のBRCA1, γH2AX, Rad51のfoci形成を免疫染色にて同定した。核内fociと化学療法による腫瘍縮小率の相関を解析したところ、foci陽性例の化学療法感受性が低いことが判明した。Basal-like乳癌に関しては症例数が少なく、有意な結果は出ていないが、DNA損傷修復能が乳癌における化学療法感受性の予見因子となりうる可能性が示唆された。 2.basal-like乳癌モデル培養細胞のDNA損傷応答におけるプロテオミクス解析 siRNAでBRCA1およびBARDの発現を抑制する条件を設定したが、限られた細胞株でしか十分な抑制が出来なかった。そこで、全ての細胞株にshRNAの導入が可能なレンチウィルスベクターを作成、さらに、同時に変異体をadd-backさせることが可能なレンチウィルスベクターを作成した。
|