研究概要 |
本研究では乳癌組織における相同組換え修復能がDNA損傷性薬剤の奏効率を予見できるかを検討した。放射線あるいはepirubicin処理にてDNA損傷をきたした培養細胞を用いて相同組換え修復に関わるタンパク質に対する各種抗体(phospho-ATM(Ser1981)、BRCA1,phospho-BRCA1(Ser1423)、γH2AX、conjugated ubiquitin、Rad51,phospho-p53(Ser15))の条件設定を行った。術前化学療法としてepirubicin投与を行った原発性乳癌60例について化学療法施行前および化学療法後18~24時間後に針生検を施行し、DNA2本鎖切断部位に核内fociとして集積する上記タンパク質の免疫染色を行った。その結果化学療法施行前のBRCA1、γH2AX、Rad51核内fociおよび化学療法後18~24時間後に生じるRad51核内foci形成の4因子が腫瘍縮小率および奏効率と相関を認め、この4因子をスコア化したところ、このスコアは他の全ての臨床病理学因子に依存しない統計学的に有意な予見因子となることがわかった(Breast Cancer Res.2010 Mar 5;12(2):R17)。basal-like乳癌モデル培養細胞のDNA損傷応答におけるプロテオミクス解析については現在のところ有意義な結果を得ていない。
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