研究概要 |
本研究は乳癌の化学療法投与直後におこるBRCA1を中心としたDNA修復経路の反応を、臨床検体を用いた免疫染色と培養細胞を用いたプロテオミクスで解析し、Basal-like乳癌およびbasal-like乳癌に類似したDNA損傷応答を示す乳癌においてDNA損傷修復能が薬剤感受性の指標になりうるかを明らかにすることを目的として研究を行った。 1. 乳癌針生検検体の解析 原発性乳癌症例の術前化学療法後針生検検体の核内BRCA1, γH2AX, Rad51 foci形成による化学療法感受性予測では、foci陽性例の化学療法感受性が低いことが判明し、これら全ての因子をDNA損傷修復能としてスコア化したところ、このスコアはLuminal乳癌、Basal-like乳癌にかかわらずサブタイプ分類を含む臨床病理学的因子と独立した最も有意な化学療法感受性の予見因子であることがわかった。 2. DNA損傷応答因子のエピジェネティック解析 当初予定のプロテオミクス解析では有意な結果は得られなかった。そこで相同組換え修復経路22因子について15種の培養細胞を用いてプロモーターメチレーション解析のためのMethylated CpG island amplification(MCA)法、Bisulfite-sequencing法、yrosequencing法の条件設定を行った。さらに術前化学療法を行った原発性乳癌のうち、(1)basal-like乳癌のpCR症例、(2)Luminal A乳癌のpCR症例、(3)Luminal A乳癌のSD症例、それぞれ20例についてメチレーションを解析するためのmicrodisectionとDNA抽出を終了した。
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