研究課題/領域番号 |
20591562
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
鍋谷 圭宏 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (40322028)
|
研究分担者 |
日和佐 隆樹 千葉大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (30260251)
松原 久裕 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20282486)
|
キーワード | 胃癌 / チミジル酸合成酵素 / protease / calpain |
研究概要 |
【背景と目的】胃癌細胞はheterogeneityが強く、化学療法のkey drugである5-フルオロウラシル(5-FU)に対する感受性の個体差が大きい。チミジル酸合成酵素(TS)は5-FUの代謝産物5-フルオロデオキシウリジン1リン酸(FdUMP)と直接結合して阻害を受ける主要な作用標的のため、TSの発現量や活性が胃癌細胞の5-FU感受性予測因子の一つとされる。しかし、TSの活性や蛋白レベルが5-FU投与中に変化して感受性に影響を与える可能性は検討されていない。そこで胃癌細胞で、5-FU接触中のTSレベルの変化を調べ、TSレベルの制御におけるproteaseの関与と5-FU感受性との関連を明らかにすることを目的として、本研究を計画した。【成果】6種類のヒト胃癌細胞株を用いた昨年度までの検討で、5-FU感受性は定常状態のTS発現量には相関せず、5-FU添加直後に形成されるTS-FdUMP複合体のレベルに相関することを見出した。さらに、内因性のcalpainは5-FU低感受性細胞で、calpain阻害剤calpastatinは高感受性細胞で高発現していることを明らかにした。そこで、カルパイン阻害剤であるALLNやZLLHで5-FU抵抗性細胞を前処理したところ、TS-FdUMP複合体のレベルが上昇した。一方、カルパインを活性化するONO-3403で5-FU感受性細胞を前処理すると、TS-FdUMP複合体のレベルが低下した。【本研究の意義と考察・展望】胃癌細胞では、5-FU接触後早期に形成されるTS-FdUMP複合体がcalpainにより分解調節されている可能性が高い。今後、calpainの阻害/活性化と感受性の変化の関係を検討予定であるが、5-FUにcalpain阻害剤を併用すると、5-FUの効果を担うTS-FdUMP複合体の分解が抑制され、5-FU低感受性胃癌細胞を高感受性化できる可能性がある。
|