研究課題/領域番号 |
20591564
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
井本 逸勢 (橘 逸勢) 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30258610)
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研究分担者 |
稲澤 譲治 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30193551)
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キーワード | 食道癌 / アレイCGH / 遺伝子増幅 / DNAメチル化 / 癌遺伝子中毒 |
研究概要 |
食道扁平上皮癌(ESCC)の「分子標的治療」を実現するための診断・治療の標的となる遺伝子候補の同定を目的に、ゲノム構造異常領域内の遺伝子群やエピゲノム異常を示す遺伝子群から、これらの遺伝子異常を検出した細胞株を用いた機能解析と多数の臨床例における発現解析により、網羅的かつ効率的に「ESCCのアキレス腱となり得る遺伝子異常」の同定を、引き続き以下のとおり進めた。 1.癌のゲノムコピー数異常解析と発現情報を用いた標的候補遺伝子探索 ESCC43細胞株を対象にした高密度オリゴアレイ(Agilent 244K)CGH解析により得られたホモ欠失領域、遺伝子増幅領域のマッピング情報をもとに、異常領域内遺伝子を抽出した。これらから、データベースあるいは細胞株パネルを用いた実験で得られる発現情報に基づいて、発現異常の認められる候補遺伝子の絞り込みを行った。さらにESCC以外の癌も同様のアプローチを進めた。 2.標的遺伝子候補の臨床病理学的並びに生物学的意義の解明 選択した標的遺伝子候補に関して、臨床検体におけるmRNA発現の評価や、臨床検体の組織染色による発現量と臨床病理学的因子との相関の解析を行うとともに、遺伝子のsiRNAによるノックダウンや強制発現系が細胞増殖に及ぼす効果を細胞株を用いそ解析した。その結果、癌遺伝子中毒を示す増幅標的の癌遺伝子候補としてとしてYAP1(ESCC)を、ホモ欠失やDNAメチル化により発現消失する癌抑制遺伝子候補としてPCDH17を同定し、新規の診断・治療標的となりうることが示されたことを報告した。さらに、肝癌では、DNAメチル化を指標として同様のスクリーニングを行い、新規の肝癌抑制型マイクロRNAを同定し、機能や標的遺伝子と併せて報告した。
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