研究概要 |
本臨床研究は、他治療無効なHLA-A2402を有する食道扁平上皮癌患者(予定症例数10例)を対象に、新規に同定されたCancer-Testis抗原(CT抗原)ペプチド3種類(URLC10, TTK, KOC1)をIFAアジュバントと混合し、患者頚部、ソケイ部に皮内投与することにより、全身的かつ腫瘍特異的な免疫が誘導されることを期待する第1相臨床試験である。主目的として安全性と免疫学的評価を、副次目的として臨床効果を検証することを目的とする。 先行研究として、Microarray technologyにより同定された扁平上皮癌に特異的に発現する新規遺伝子群より、Oncoantigenとしての性格を有する3種類のHLA-A2402抗原ペプチドを同定した。食道癌手術症例(n=20)の検討から、TIL、リンパ節、末梢血に3抗原に対するCTL precursorの存在が高頻度に証明された。これらの研究結果から、ペプチドワクチン第1相臨床試験を計画した。有害事象としては、局所の発赤と疼痛が認められるのみであった。Elispot assayにて、10例中9例で、ワクチンによる抗原特異的免疫誘導が確認された。10例中2例において画像上、objective responseが認められた。本臨床試験の結果から、3種類の抗原ペプチドは良好な免疫誘導性を有しており、癌ワクチン療法に適している。現在、多施設共同第II相試験を実施中である。
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