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2010 年度 実績報告書

胃癌腹膜転移と制癌剤感受性における癌幹細胞の役割

研究課題

研究課題/領域番号 20591567
研究機関名古屋大学

研究代表者

小寺 泰弘  名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (10345879)

研究分担者 中尾 昭公  名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70167542)
キーワード細胞 / 臨床検査学 / 胃十二指腸外科学
研究概要

今年度も引き続き、stem cell markerの候補遺伝子のうち、L1CAMの理解を深める研究を継続した。
胃癌培養細胞株KATOIIIにおけるL1のmRNA発現がsiRNA法で抑制されることは既に示したが、今年は蛋白レベルでも抑制されていることをWestern blotting法により確認した。また、同じく胃癌培養細胞株AZ521においても、siRNA法でmRNA、蛋白レベルでL1の発現が低下することを確認した。
昨年、KATOIIIのL1抑制株では、細胞の増殖および遊走が抑制されることを示したが、過去の報告(Steve Silletti et al. JBC. 2004)によるとこれらの現象はp-ERI(を介して起こることが示されている。今回、L1を抑制することによってp-ERKの発現が低下していることを確認した。さらに、親株とsiRNA法によるL1抑制株において0.05%FBs存在下で飢餓状態にした上10%FBSで刺激することによって、p-ERK pathwayを活性化させた状態でその発現の違いを確認した。すると、刺激後10分、30分、120分の段階で、L1抑制株ではtotal-ERKの発現は変わらないにもかかわらず、p-ERKが明らかに減弱していることがわかった。また、他の細胞増殖を司る回路としてAkt pathwayがあげられるが、p-Aktの発現はKATOIII, AZ521いずれの培養細胞株でもL1を抑制することによる変化は見られなかった。以上より、胃癌培養細胞株を用いた実験において、過去に報告されている他癌種と同様、L1による細胞増殖や遊走機能の促進は、p-ERKを介して起こっていることがわかった。
次に、siRNA法によりL1をknockdownしたKATOIIIにおいて、microarrayでL1抑制株における有意な発現低下が認められていた分子のうち、apoptosisの調節に関わると言われるDYRK1AのmRNA発現が別途培養したL1抑制株解析により、実際に親株より著しく低下していることをRT-PCR法で確認した。さらにL1抑制株においては、胃癌幹細胞マーカーの一つといわれるCD44の発現が抑えられることをFACSにより示した。
以上より、L1はapoptosisや癌幹細胞と関連があることが示唆された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011 2010

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Role of L1 cell adhesion molecule in gastric carcinoma2011

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Ito
    • 学会等名
      Gastrointestinal Cancers Symposium
    • 発表場所
      Moscone Convention Center West, San Francisco, CA, USA
    • 年月日
      2011-01-20
  • [学会発表] 胃癌患者における予後因子としてのL1CAM発現と遺伝子発現の変化について2010

    • 著者名/発表者名
      神野敏美
    • 学会等名
      日本外科学会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場、名古屋市
    • 年月日
      2010-04-10

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公開日: 2012-07-19  

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