研究概要 |
食道癌細胞株におけるendogenousのNPRL2発現量と放射線感受性、 Rad51発現量との相関関係:ヒト食道癌細胞株10株(TEI,2,3,4,5,6,8,9,10,11)をRIKEN BioResource Centerより購入し、放射線に対するIC50とIC20をXTT assayで測定した。 IC50はそれぞれ1.58Gyから9.28Gyの範囲で測定された。一方、それぞれの腫瘍株のNPRL2蛋白発現をNPRL2抗体(Abcom)を用いてWestern blotで検証したが、一律にほとんど発現を認めなかった。そこで、現在他社のNPRL2抗体2種類を購入し、再検証を行っている段階である。 Rad51蛋白発現レベルは、正常細胞株と比較して全ての腫瘍株で強発現を認めた。 NPRL2発現ベクター・siRNA発現ベクターの作製:研究代表者が留学中に作成したNPRL2発現プラスミドベクターとDC-nanoparticleが、 MD Anderson Cancer Centerからに寄与された。 TE1, TE3にNPRL2ベクターをDC-nanoparticleに包埋してtransfectionを行うと、高い導入効率を認め、食道癌細胞株でもNPRL2の治療効果が得ることを確認した。また、 Rad51に対するsiRNA配列を3種類設定し、 siRNA発現ベクターに挿入し作製した。現在、これらのベクターをTE1, TE3にtransfectionし、 Western blotでRad51の発現抑制効果を比較して、最適なsiRNA配列を検討している。 NPRL2遺伝子導入によるDNA損傷修復遺伝子の発現量の検討:NPRL2非発現食道癌株・TE8にNPRL2ベクターあるいはGFPベクターをtransfectionし、3日後にDNA損傷修復遺伝子Rad51の発現量をWesternblotで定量した。 NPRL2ベクターをtransfectionされたTE8では明らかにGFPベクターのTE8よりRad51蛋白の発現抑制を認めた。以上より、 NPRL2の発現はDNA損傷修復に対する抑制効果を持つ可能性が示唆された。現在、 NPRL2がRad51以外のDNA損傷修復遺伝子に対する抑制作用の有無を検討している。
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