研究概要 |
化学療法と細胞免疫療法との治療により、宿主免疫系を介した治療効果、特に免疫細胞(CTLやNK細胞、マクロファージ)を介した腫瘍傷害がそのもう1つの機序として考えられている。我々はin vitroの研究でHER2受容体を分子標的とするTrastuzumab (Tr)がもたらす免疫系を介した効果、特に腫瘍抗原特異的細胞性免疫に関与を示唆するデータが得られた。HER2陽性乳癌患者から得たれた末梢血から、IL4, GM-CSF,TNF-alfa etc.を用いた通法によりDCを誘導、そのPhenotypeをFlowcytometryにて確認した。更に、同患者から得られた自己癌細胞とDC,PBMCによるMLTCを行い腫瘍特異的CTLの誘導を行い、Trastuzumab添加により、DC成熟度が上昇し,細胞表面マーカーCD83、サイトカインのプロファイルではIL-12,IL-23の上昇を認めた。またCTLの特異性・誘導能の差異について、自己腫瘍、他の腫瘍株、またはHLA-A2およびA24患者に対してはAPC(T2細胞、A2402分子を遺伝子導入したCOS-7細胞株を使用)上の既知のHER2,CEAペプチド抗原をTargetにした^<51>Cr遊離法による細胞傷害活性、サイトカイン産生能の測定(ELISA)で評価した。誘導されたCTLの腫瘍細胞傷害活性については、Tr添加の有無によるエフェクター相でも差異を認め、Tr添加によりより強いCTL誘導能が認められた。一方、コントロールとしてHER2陰性乳癌患者、健常人ボランティア(Allo腫瘍を使用)ではCTL誘導が増強されることはなかった。
|