研究概要 |
食道扁平上皮癌における、エストロゲンレセプターのsubtypeであるエストロゲンレセプターα(ERα)、エストロゲンレセプターβ(ERβ)の発現を免疫組織化学的に証明し、ERβ発現が食道癌の予後不良因子であることを明らかにしてきた。今後、いくつかの因子に注目し、食道癌の新たな治療体系の構築を目指していく。 本年度、以下の成果を得た。 1. 食道癌切除後のサイトカインの解析を行い、IL-1β等が手術後の急性肺障害の指標になることを報告した。(Dis Esophagus,2008,21,30-36) 2. 肺癌におけるERα,βの発現とEGFR変異の解析を行い、その相互関係を証明した。(JCO,2009,27,411-417) 上記の結果を踏まえ、以下の食道癌の研究へと展開している。 A. 食道癌細胞のRNAレベルでのERα、ERβの発現を検討するため食道癌細胞株(TE series)を入手し、細胞培養を開始した。また、保存され使用可能な食道癌切除標本の凍結切片を選別した。食道癌細胞株の培養および食道癌切除標本の凍結切片からRNA抽出および発現の検討を行うにあたりreal time RT-PCR法のprimer設定や諸条件とantibodyのblotting設定条件を調整している。 B. 食道癌のtopoisomerase-I,topoisomerase-IIの発現と抗癌剤感受性の相関を検討するために切除標本におけるtopoisomerase-I,topoisomerase-IIの発現を免疫組織化学的に解析する条件設定を行っている。
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