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2010 年度 実績報告書

腹腔鏡手術は低侵襲か?-炭酸ガス気腹による細胞機能変化の分子生物学的解析ー

研究課題

研究課題/領域番号 20591590
研究機関広島大学

研究代表者

岡島 正純  広島大学, 病院, 特任教授 (90274068)

キーワード腹腔鏡手術 / 低侵襲手術 / 分子生物学
研究概要

広く普及した腹腔鏡手術が本当に低侵襲であるかを検証し、その低侵襲性のメカニズムについて解析し、以下の2つの成果が得られた。1.ブタ気腹モデルを使用し、炭酸ガス気腹が、肝機能、血行動態、肝組織に及ぼす影響を開腹手術モデルと比較検討した。炭酸ガス気腹により、門脈圧の上昇、肝有効血流量の減少を認め、組織学的に肝組織の障害を認めた。これらの結果は、腹腔鏡手術は肝機能に悪影響を及ぼし得るという結果ではあるが、進行癌においては逆に転移を抑制する方法に働く可能性が示唆された。2.術後癒着形成は腹部手術後の重要な合併症の一つであり、腹腔鏡手術は癒着形成が軽度であるとされているが、そのメカニズムは理解されていない。そこでラット気腹モデルを使用し、手術後の癒着形成を開腹モデルと比較検討した。気腹モデルにおいて癒着形成は有意に抑制され、さらに癒着形成に重要な分子であるPlasminogen activator inhibitor-1 (PAI-1)の血中、腹水中の濃度が有意に減少することが確認された。この現象は大網から抽出したRNAによるmRNAの定量解析においても同様の結果が得られた。続いてこのPAI-1抑制現象が、ヒト検体において同様の動態を示すかどうかを検証するために、開腹症例と腹腔鏡症例から採取した大網組織のPAI-1mRNAを定量解析し、比較検討した。PAI-1mRNAは腹腔鏡症例で抑制される傾向を認めており、腹腔鏡症例における癒着形成の抑制は、PAI-1 mRNAの発現抑制が関与していることを示唆する成果が得られた。この成果は腹腔鏡手術の低侵襲性を分子生物学的に証明するものであり、今後はこれらの成果から腹腔鏡手術を更に安全に低侵襲な術式へと発展していくことが期待される。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Alterations in portal vein blood pH, hepatic function, and hepatic histology in a porcine carbon dioxide pneumoperitoneum model2010

    • 著者名/発表者名
      Makoto Yoshida
    • 雑誌名

      Surgical Endoscopy

      巻: 24(7) ページ: 1693-1700

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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