研究課題/領域番号 |
20591593
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
大森 斉 奈良県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (80213875)
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研究分担者 |
國安 弘基 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00253055)
笹平 智則 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90405374)
バワール ウジャール 奈良県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (50433339)
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キーワード | 癌幹細胞 / 幹細胞微小環境 / 転移 / 温熱療法 / 脂肪酸 |
研究概要 |
Cancer stem cellの微小環境であるnicheに影響を与える因子を検討するため、温熱とともに脂肪酸の影響を検討した。Linoleic acidを癌細胞に長期に作用させると、apoptosisの誘導、増殖活性の低下により、少数の細胞がquiescentの状態となって存続する。これらの細胞をsphere assayにかけると、非処理細胞に比較し多くのsphere形成が見られ、nucleostemineやCD133の発現誘導が認められる。すなわち、stemcell様細胞がlinoleic acidの長期持続処理により増加したと考えられる。このようなlinoleic acidで誘導されたquiescent細胞をマウスに接種し、さらに、マウスをlinoleic acid処理すると癌細胞は非増殖性・非炎症性・非血管新生の癌細胞集簇巣を形成する。これはcancerdormancyに相当する現象として注目される。このようにlinoleic acid処理では増殖活性の低下したstem cell様細胞が誘導される。これに対し温熱では、apoptosisが誘導され細胞数は減少するが、linoleic acidと異なりquiescent状態の誘導は認められない。しかし、温熱によりPKM2やHIF1の発現が亢進することからstem cell様phenotypeが誘導される可能性が考えられた。このことから、温熱では増殖活性が保たれたまま弱いstemnessが誘導される可能性があり、quiescentやdormancyの誘導は認められない。この点で、治療法として温熱の有用性が認められた。
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