研究概要 |
潰瘍性大腸炎患者、クローン病患者、健常者より未梢血を採取し、ELISA法により血中osteopontin値を測定した。その結果、正常健常コントロール値(312.5±103.74ng/ml)に比較し、潰瘍性大腸炎患者(436.3±126.5ng/ml)、クローン病患者(618±286.1ng/ml)で高値を示した。活動期と寛解期における検討については、潰瘍性大腸炎、クローン病ともに活動期のosteopontin値が有意に高値であった。潰瘍性大腸炎の活動期における血中osteopontin値は774.00±328.8ng/mlで、寛解期における349.9±65.9ng/mlに比べ、有意に高値であった。また、クローン病活動期における血中osteopontin値は848.5±181.1ng/mlで、寛解期における387.1±144.4ng/mlに比べ、有意に高値であった。 同様に、潰瘍性大腸炎患者、クローン病患者、健常者より未梢血単核細胞(PBMCs)を分離し、osteopontin単独あるいはグラム陰性菌体壁の共存下に,IL-2,IL-12,PHAで刺激培養し、ELISPOT法でIFNgamma産生細胞数を自動解析装置にてカウントし定量的に解析した。OPN,IL-12,IL-2,LPSに対するPBMCsのIFN産生反応は、健常人よりも潰瘍性大腸炎患者やクローン病患者の方が低い傾向が得られた。以上よりOPNはIBDの炎症の程度と密接な関係があると推測される。一方、IBDでは健常コントロールに比較し、総コレステロール値が低く、総コレステロール値は活動期のIBDでより低いといわれている。また、OPNと脂質代謝は密接な関係にあるといわれており、IBDの脂質代謝に影響を及ぼすマーカーの検索を今後の検討課題に加えたいと考えている。
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