研究概要 |
(Preclinical model) マウス背部皮下大腸癌移植モデルを用いたCPT-11およびbevacizumabによる抗腫瘍効果の検討から、metronomic CPT群(2回/週の低用量頻回投与群)はMTD CPT群(2週間隔投与群)に比べ有意に強い増殖抑制効果を示した。特異的血管新生阻害剤bevacizumabとmetronomic CPT併用では、さらに強い抗腫瘍効果がみられた。 コントロールとMTD群では循環内皮前駆細胞(CEP)および循環血管内皮細胞(CEC)、いずれも経時的に増加するのに対し、metronomic群やbevacizumab併用群ではDays-0,4,8,15におけるCEPは低値で増加を認めなかった。Day-15のCEPはコントロールに比べ有意に低値であった。一方、CECは抗腫瘍効果の強いmetronomic群やbevacizumabとmetronomic CPT併用群ではdays-4,8に一過性に増加し、day-15で低下するパターンを示した。Day-15の腫瘍組織の血管密度はmetronomic群とbevacizumab併用群で有意に低値であった。 以上より、CPT-11を用いたmetronomic therapyの血管新生抑制作用による抗腫瘍効果が示唆された。また、循環内皮前駆細胞のモニタリングは血管新生抑制のサロゲートマーカーになり得ることが示された。 (進行・再発大腸癌臨床例) FOLFOXまたはFOLFIRI施行例(MTD治療、n=3)と経口剤を用いたXELOX(metronomic治療、n=4)前後のCEPの推移を検討した。初回治療前と2週後にCEPsを測定した。臨床例におけるCEPsは個人差が大きく、前後値の増減によりmetronomic治療におけるCEPsの抑制効果を検討している。現在まで、CEPsの減少はMTD群が3例中1例、metronomic群が4例中2例にみられたが、今後症例の集積が必要である。
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