予備実験からmicroarrayにより、大腸の発生発癌に関わる遺伝子として同定した転写因子のSOX4とその属するSOXファミリーの発現ベクターを作成した。それらを用いHEK293細胞やSW480細胞をはじめ5種類の大腸癌細胞株にtransfectionを行い、Wntシグナルに関わるluciferase assayを行ったところ、SOX4がbeta-cateninを有意に制御することが判明した。またその他のいくつかのメンバーにおいても同様の結果であった。SOXファミリーは、Wntシグナルを制御し、大腸の発生と癌化に関与している可能性が示唆された。 また、ヒト大腸癌組織において免疫染色を実施し、SOX4の分布を確認したところ、核に分布し、また一方では細胞質にも発現を認めた。 beta-cateninとのco-immunoprecipitationを行い、各々が結合することを確認した。 すなわち、大腸癌細胞にSOX4を発現誘導させることにより、beta-cateninの核への移行を変化させ、大腸癌の進展を制御する可能性が示唆された。 一方、それらの結果をふまえ、癌タンパクのSOX4の役割を考慮し、ワクチン療法に対する実験として、SOX4ペプチドを作成した。現在、他のメンバーに関しても同様に研究を進めている。また、CD4、CD8の抗体を用いT細胞でのCD4、CD8の発現やSOX4特異的T細胞活性をFACS、ELISAにて確認を行っている。
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