研究概要 |
【目的】肝細胞癌に対する新たな治療を開発することを目的とする。 当教室のマイクロアレイデータやプロテオミクス解析から選択されたHSP70を、癌抗原となる蛋白として選択し、HSP70 mRNA導入樹状細胞療法を行う。 【研究計画】HSP70 mRNA導入樹状細胞療法第一相試験を行う。 【実績】HSP70は免疫染色免疫染色にて肝正常組織には発現が無いことを確認した。また、HSP70 mRNAは樹状細胞に導入されることを確認した。これらを踏まえて、HSP70 mRNA導入樹状細胞療法第一相試験を次のように実施している。切除不能/再発肝細胞癌9例を対象とし、投与樹状細胞個数樹状細胞の1回投与量(個数)は、1x107,2x107,3x107の3段階を予定し、1x107から開始する。有害反応の種類と程度により用量規定因子と最大耐量を判定する。 現在、第一段階投与量の1x107個の樹状細胞を用い3例の治療を行った。有害反応については、JCOGの毒性判定基準のgradeIII,IVは認めなかった。3例中1例にCRを認めた。 第二段階投与量の2x107個の樹状細胞を用い3例の治療を行った。有害反応については、JCOGの毒性判定基準のgradeIII,IVは認めなかった。3例中1例にPRを認めた。 第三段階投与量の3x107個の樹状細胞投与を用いて治療を開始したところ、治療効果判定終了後に肝膿瘍をきたした。抗生剤にて軽快した。経過観察終了後に生じた反応であり本治療とは無関係と判断したが、安全性を確保する目的で3症例を追加し、第三段階は計六例を行うこととした。現在、第10症例まで行い、6例中1例のCRを認めた。 また本治療による免疫学的効果を検討している。 今後、第I相試験について安全性のprimary endpointと免疫学的効果のsecondary endpointを併せて評価し、第2相試験の推奨用量を決定し、術後補助療法としてのHSP70樹状細胞療法を第2相試験として予定している。
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