研究課題/領域番号 |
20591616
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
久保 正二 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (80221224)
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研究分担者 |
竹村 茂一 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00322363)
田守 昭博 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (30291595)
上西 崇弘 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70382108)
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キーワード | 肝細胞癌 / B型肝炎 / NASH / 生活習慣病 / 肝切除 |
研究概要 |
本研究は多面的な分子生物学的手法による非B非C型肝細胞癌の発癌機構や臨床病理学的特徴を明らかにし、これらの症例に対する適切な治療法を確立することを目的としている。 当科における肝細胞癌切除例のうち非B非C型肝細胞癌に分類された77例について、その臨床病理学的特徴を検討した。その結果、平均年齢は64歳、男性に多く、17例にはアルコール多飲歴が、3例には自己免疫性肝炎、2例に非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、各々1例に原発性胆汁性肝硬変およびBudd-Chiari症候群がみられた。なお77例中22例に肝硬変がみられ、このうち原因不明の肝硬変が11例にみられた。これら原因不明例のうちにはPCR法やCassette ligation method法においてB型肝炎ウィルス(HBV) DNAの組み込みが確認さえる症例が存在した。これら非B非C型肝細胞癌切除例の再発危険因子は単編量解析および多変量解析において切除断端陽性(5mm以内癌細胞陽性)、多発腫瘍であった。非B非C型肝細胞癌におけるHBVの感染既往による影響を検討するため、血清HBc抗体の有無別に非B非C肝細胞癌を分類しても、臨床病理学的所見や切除成績に有意な差はみられなかった。現在、NASHや糖尿病による非B非C型肝細胞癌の臨床病理学的所見や切除成績に対する影響を検討している。 今後、さらに症例を集積し、特に原因不明肝細胞癌を中心とした分子生物学的方法による肝細胞癌発癌機構の解明と適切な治療法の確立を試みる予定である。
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