研究概要 |
肝内胆管癌組織内の豊富な間質は、多種の細胞外マトリックスによって構成され、癌細胞の機能に影響をおよぼすと考えられている。細胞外マトリックスのひとつであるコラーゲンは現在20種類以上報告されており、数種類のグループに分類されている。今回、不溶性の線維を形成し、組織の構造を支える1)Fibril Collagens及び線維状のマトリックス成分に結合し、作用を制御している2)FACIT collagens(Fibril Associated Collagens with Interrupted Triple helices collagens)に注目し、これらのCollagenの発現及び発現差を肝内胆管癌組織及び非癌部組織において免疫組織学的に検討した。1)Fibril Collagen:非癌部胆管上皮においてFibril collagenの発現は認めなかったが、癌細胞においてV型コラーゲンの発現を認めた。非癌部胆管周囲間質にはI,III型Collagenを認め、癌間質にはI,III,V型Collagenの発現を認めた。2)FACIT Collagen:胆管上皮及び癌細胞ともにIX、XII,XIV,XVI,型Collagenの発現を認めた。特に癌細胞にこれらのCollagenの強い発現を認めた。胆管周囲間質にFACIT Collagenの発現は認めなかったが、癌間質にXII型Collagenの発現を認めた。癌部に強く発現していたFACIT Collagen(IX、XII,XIV,XVI,型)や非癌部に発現していなかったFibril Collagen(V,XI型)が癌組織の機能に影響を及ぼしている可能性が考えられた。今後、これらのコラーゲンの機能解析を行っていく予定である。
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