研究課題
肝内胆管癌組織内の豊富な間質は、多種の細胞外マトリックスによって構成され、癌細胞の機能に影響を及ぼすと考えられている。細胞外マトリックスの一つであるコラーゲンは現在20種類以上報告されており、数種類のグループに分類されている。我々は、今までに不溶性の線維を形成し、組織の構造を支える(1)Fibril Collagens及び線維状のマトリックス成分に結合し、作用を制御している(2)FACIT Collagens(Fibril Associated Collagens with Interrupted Triple Helices Collagens)の発現及び発現差を肝内胆管癌組織及び非癌部組織において免疫組織学的に検討してきた。これらの中で癌細胞に強く発現を認めたCollagen Type Vの役割について検討したが、癌細胞の増殖能及び浸潤能に明らかな関与は認めなかった。また、肝内胆管癌組織及び細胞にコラーゲンの受容体であるIntegrin Beta1及びDDR1の受容体発現を認めた。これらの受容体の癌細胞における遺伝子発現をSiRNAを用いて抑制したところ、Integrin Beta1の遺伝子発現抑制は癌細胞の増殖能及び浸潤能に影響しなかったが、DDRIの遺伝子発現抑制は癌細胞の増殖能及び浸潤能を増加させた。また、Integrin受容体下流に存在するFAKに対する阻害剤をもちいた実験では、肝内胆管癌細胞株の増殖能は上記薬剤によって抑制され、FAKが癌細胞の機能制御に関与している可能性が証明された。
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