研究概要 |
我々は、膵癌細胞株を用いて、細胞周期でのG2M checkpointの制御に関与するWee1遺伝子の発現解析を行い、正常膵上皮細胞株に比較して、膵癌細胞株においてWee1遺伝子の発現が増強していることを示した。また、ヒト膵癌切除組織より採取した正常膵組織および癌組織を用いたWee1蛋白の発現解析を免疫染色法にて行い、正常膵組織においてはWee1蛋白発現は認めず、膵癌組織の25.5%(13/51例)において発現していることを示した。しかし、膵癌組織においてWee1(+)群とWee1(-)群におけて臨床組織学的特徴の統計学的解析を行ったが、TNM分類、UICC stage、Histologic grade 、Residual tumor category すべての項目において統計的有意差は認められなかった。Wee-1(+)群とWee-1(-)群で、Overrall survival、Disease free survivalの差も認められなかった。以上の結果より、Wee1遺伝子の膵癌における発現を確認できたが、Wee1遺伝子単独の発現レベルは、臨床病理学的な所見と相関するものはなく、その機能は,他の分子との相互作用により働くものと考えられた。
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