研究課題
【目的】近年、高度進行胃癌に対し治癒切除率の向上を目指して5-FU系薬剤(S-1)を用いた術前化学療法(NAC)が行われている。しかしながら、治療に感受性がない場合手術時機を逸する可能性があり、化学療法の治療効果予測システムの確立が不可欠である。本研究では当科において開発したタンパク発現解析法である定量的蛍光二重免疫染色法(quantitative double fluorescence immuno-histochemistry: qDFIHC)を用いて、S-1を用いた胃癌NAC治療効果予測が可能否かについて検討した。【方法】高度進行またはスキルス胃癌47症例の生検標本に対し、qDFIHCを用いて5-FU関連酵素であるTS、DPD、OPRTの発現を評価した。それらを組み合わせた指標にカットオフ値を設定し臨床効果との関係を評価した。また組織内のheterogeneityの影響について評価した。【結果】qDFIHCは1視野での計測値と3視野での計測値の平均を比較すると強い相関を認めた。OPRT、OPRT/TS、OPRT/DPD、OPRT/(TS+DPD)の値は臨床効果と有意な相関を認め、カットオフ値を用いた2群間比較においても有意に相関した。OPRT/TSは最も強い相関を認め(p<0.001)、切除可能であった17例において病理学的効果との相関も認めた(P<0.001)。【考察】組織内のheretogeneityの影響に関しては、qDFIHCは1視野分で十分な測定であることが示された。またカットオフ値を用いた効果判定は感度・特異度ともに高く、治療の個別化に有用であると考えられた。特にOPRT/TSを用いて症例を選別した場合、奏功率が73.7%と良好な結果が得られた。【結論】qDFIHCは微少な生検標本で簡便に蛋白発現の測定が可能である。OPRT/TSを用いたS-1による胃癌NACの治療効果予測が可能であり、個別化治療に有効な可能性が示唆された。
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