研究概要 |
本研究は、抗アレルギー剤MMYK-01が有する膵臓癌細胞株に対するジェムシタビン(GEM)増強効果の作用機序をin vitroおよびヌードマウス皮下腫瘍モデルを用いて解明することを目的とする。 (研究の成果)平成20年度は、MMYK-01がKP4のRRM1分解を介してGEM感受性を増強する機序解明に対し、RRM1分解機序にp53発現誘導が必要であると推定し、MMYK-01投与によるp53発現解析を行った。しかしながら、予想に反しp53はMMYK-01による誘導はみられなかった。そこでKP-4と同様にMMYK-01によるGEM効果が促進されるGB-d1細胞を用いてGEM耐性株を作成した(GB-d1R)。GB-d1RのRRM1発現は親株に比し、100倍以上の発現増強を示していた。また、GB-d1RはGB-d1親株に比し、MMYK-01により強力にアポトーシスを受ける事を見いだした。さらにGB-d1RのMMYK-01によるアポトーシスはTGF-β添加により抑制された。よって、MMYK-01はGB-d1RのTGF-β分泌を抑える事によりアポトーシスを引き起こしていることを発見した。そこで平成22年度は、MMYK-01の機序解明について、GB-d1親株とGB-d1Rの両者を用い,さらなるin vitro実験を行い、MMYK-01のTGF-βシグナル阻害→アポトーシス機序を詳細に解明していきたいと考えている。さらに、ヌードマウスに皮下腫瘍を形成後、MMYK-01を投与することにより、GEM耐性克服のためのMMYK-01臨床応用について検討していく予定である。
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