本研究は、抗アレルギー剤、MMYK-01が膵臓癌細胞株に対するジェムシタビン(GEM)感受性を増強する機序をin vitroおよびヌードマウス皮下腫瘍モデルを用いて解明することを目的とし、研究を開始した。本年度は、膵臓癌細胞から胆嚢癌細胞株に対象を変更し研究を継続した。また、MMYK-01の有する膵癌細胞のGEM感受性増強効果に関する論文をpublishすることができた。 (結果)GEM耐性胆嚢癌細胞株(GB-d1R)を用いてMMYK-01のGEM感受性効果を解析した。GB-d1RのRRM1発現は親株(GB-d1)に比し、100倍以上の発現増強を呈し、RRM1がGEM耐性に直接関与することを示唆した。さらに驚くべきことにGB-d1RはGB-d1親株に比し、MMYK-01単独により強力にアポトーシスを誘導される事を見いだした。この興味深い現象を解析するためTGF-βに着目した。まず、MMYK-01はGB-d1とGB-d1RのTGF-β分泌を抑制した。MMYK-01は親株であるGB-d1の増殖を濃度依存性に抑制する効果を示した。親株のMMYK-01による増殖抑制効果は、TGF-β添加によって抑制された。この際、MMYK-01によるRRM1発現抑制は緩和された。一方、GEM耐性株GB-d1RのMMYK-01によるアポトーシス誘導は、TGF-β添加では緩和されなかった。また、RRM1発現にも変化が見られなかった。これより、MMYK-01のGB-d1Rに対するアポーシス効果はTGF-βシグナルに関与しないことが示唆された。現在、MMYK-01無添加および添加したGB-d1RよりRNAを調整後cDNAに変換、アレイ解析を行った。このデータ解析を行い、22年度にはMMYK-01のGB-d1Rアポトーシス作用解析に繋げたい。
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