研究分担者 |
近藤 千博 宮崎大学, 医学部, 准教授 (10244196)
甲斐 真弘 宮崎大学, 医学部, 講師 (40264379)
大内田 次郎 宮崎大学, 医学部, 助教 (10363590)
日高 秀樹 宮崎大学, 医学部, 助教 (90398264)
内山 周一郎 宮崎大学, 医学部, 助教 (50437935)
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研究概要 |
術前の正確な残存肝予備能の把握と術後肝不全の早期予知及びその防止は臨床上極めて重要な課題である. 大量90%肝切除術後や閉塞性黄疸における胆汁酸内瘻と外瘻による減黄法の違いによる有機アニオントランスポーター(取り込み系のntcp, oatp,排泄系のBsep, Mrp2, Mrp3など)の発現の変化とビリルビンおよび胆汁酸代謝との関係をラットで解析した.現在以下の結果を主要な学会さらに一部は既に論文で発表し現在も論文作成中である. 1)90%肝切除術後48時間の生存率は50%,70%肝切除群は100%であった.90%肝切除群では70%肝切除群に比べて術後早期(6h)に胆汁流量および胆汁中胆汁酸排泄の有意な低下がみられた.また,90%肝切除では一次胆汁酸であるCA, CDCAの胆汁酸排泄が術後6時間で有意に減少していた(J Surg Res 134 : 81-86, 2006).またトランスポーターの測定では,取り込み系のトランスポーターであるntcpとoatpl,2には有意差を認めなかったが,排泄系トランスポーターでの検討では90%肝切除群ではBsepとMrp3の有意な発現亢進とMrp2の発現低下を認めたのに対し,70%肝切除群ではBsepとMrp3の発現低下とMrp2の発現亢進を認めた(Hepato-Gastroenterol in press). 2)閉塞性黄疸ラットモデルでは,胆管閉塞によりMrp2, Bsep, oatpおよびntcpの発現低下とMrp3の発現亢進が認められた.1週間の閉塞性黄疸後胆汁外瘻あるいは内瘻により減黄すると,発現が低下していたMrp2は亢進し,発現が亢進していたMrp3は低下した.胆汁外瘻と内瘻を比較すると内瘻の方が有意にMrp2とMrp3の発現が正常に復した.以上より減黄の必要性と減黄する方法として胆汁内瘻の方が優れていることが示唆され,主要学会発表に加え論文発表予定である.
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