研究課題/領域番号 |
20591636
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
見城 明 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (40305355)
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研究分担者 |
斎藤 拓朗 公立大学法人福島県立医科大学, 医学部, 講師 (20305361)
佐藤 佳宏 公立大学法人福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (60347218)
木村 隆 公立大学法人福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00381369)
後藤 満一 公立大学法人福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50162160)
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キーワード | 膵癌 / 樹状細胞 / OK-432 / 術前 / 腫瘍内局注 |
研究概要 |
昨年度は、^<111>In標識した樹状細胞(以下、DC)をOK-432と共に腫瘍内に局注し、局注後シンチでDCの動態を観察し、その後解切除術を施行し、標本を摘出し病理組織学的な検討を行った。本年度は、DC局注手技の安全性の確認を行うと共に、組織学的な評価を更に進め、画像診断で局注局所の変化を再確認し、その後の再発の有無に関する解析をおこなった。DC局注による安全性は、局注後の有害事象ならびに切除術後合併症の程度により評価を行い、安全性が確認された。腫瘍組織内では、局注部では組織の融解壊死を認めた。これは、DC局注を行わなかった膵癌症例には認めない変化であった。DC非局注症例と比較して、近傍および腫瘍・膵組織境界部ならびに周囲膵組織間質には炎症性細胞の有意な浸潤を認めなかったが、近傍のリンパ節では成熟DCの数が有意に増加していた。また、制御性T細胞のマーカーであるFOXP3陽性細胞が、腫瘍近傍リンパ節や遠隔リンパ節で有意に増加していた。これは、あたかも矛盾する反応とも考えられるが、OK-432局注により、局所での炎症が惹起され、急性炎症の沈静化の過程でFOXP3陽性細胞が増加しだと考えられる。局注局所で炎症が惹起されたことは、組織学的所見以外に、DC局注前後にFDG-PET検査を施行し、局注後取り込みの増加を認めたことからも判断可能と考えている。これまでDC局注を施行した症例で、切除術後無治療で4年以上無再発生存を2例に認め、ている。今後は、研究を継続すると共に、抗癌剤治療との併用についても検討したい。
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