研究概要 |
脳組織におけるmafの発現 1.エネルギーソースとしてグルコースに限定されること、2.脳の活動を支える効率のよい瞬発力のある代謝基盤が必要とされること、3.虚血性の変化に鋭敏で弱いこと、4.これまでのlarge mafのsiRNAによる検討から、nerve growth factor、islet amyloid polypeptideなどの変化があること、以上のことから神経伝達に関わるlarge mafの働きが予想され、今回はlarge mafの脳における発現について検討した。脳での発現はmafA,mafB,c-mafともmRNAのレベルで確認しており、mafA,c-mafについては、組織の免疫染色で発現の局在を確認した。MafA siRNAによる脳組織でのmafAおよびc-mafの発現をknock downして、その発現profileをRT-PCR、マイクロアレイで検索した。up-regulate,down regulateされるいくつかの遺伝子が挙がってきており、mafA,c-mafに共通の変化もみられた。大変興味深いことは、このなかのいくつかのものについては、mafA siRMA in vivoで発現を抑制すると、そのタイミングによっては発現がmRNAのレベルで1/100程度まで減少する遺伝子が見られることである。転写因子の発現強度とタイミングは生体の分化、増殖、免疫惹起の方向性が決められていく可能性があり、解析点として重要である。今回検出された遺伝子は、feed intake, sleeping behavior, growth hormoneなどに関わる遺伝子であり、摂食行動、睡眠パターンの改変につながる糖尿病やうつ病などの治療ポイントとして検討は必須である。今後、脳組織全体での解析と平行して、細胞レベルでの組織学的な検索と、転写因子として蛋白とDNAの結合性などの分子生物学的な解析を行っていく予定。
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