研究概要 |
膵のcancer cell lineを用いてlarge mafの発現をsiRNAで抑制し、そのプロファイルのEMT markerを検索したところ、mafB siRNAでE-cad, b-cateninの発現が上がることが観察された。膵b cellの分化は、isletでのself renewalだけでなく、状況によっては、duct cell, acinar cellからの分化が証明されている。われわれは、Porcine newbornのislet発生過程で、ごくわずかではあるが腺管細胞の中に、mafB陽性インスリン陽性細胞がみられ、ductから弧発に離脱していき、mafA陽性のendocrine small cell clusterを形成する過程を槻察している。発生の過程だけではなく、通常の生体の反応についても類似の機構が推察され、形態変化・細胞移動に関与する転写制御機構があるはずで、mafBとE-cad, b-cateninの消退との関連を検討しており、small cell clusterを形成するタイミングで、細胞の細胞質にE-cad, b-cateninの発現をみている。さらに、mafB siRNA in vivoの膵での結果としてgamma actinが減少しており、アクチンの発現はmafBによって制御されている可能性がある。これらの結果もあわせて、MafBはE-cad, b-cateninの発現を抑え、actinの発現をあげ、e-cad, actinの消長にMafBのスィチングが関わる可能性が推測される。さらに、mafB siRNAにより、mafB mRNAの発現の変化に伴い、GSK3bの細胞内分布(細胞質から核内の移行)に変化がみられることがわかり、これにつながるWNT signal cascadeが示唆され、細胞の分化、形態変化、癌化や転移に関わるような機構に、mafBの転写制御が関わっていることが示唆される。
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