研究課題/領域番号 |
20591645
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
藤田 知之 独立行政法人国立循環器病研究センター, 心臓血管外科, 医師 (10457012)
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研究分担者 |
澤 芳樹 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00243220)
市川 肇 独立行政法人国立循環器病研究センター, 小児心臓外科, 医長 (60303939)
松宮 護郎 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20314312)
倉谷 徹 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (90448035)
上野 高義 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60437316)
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キーワード | 心不全 / LVAD / 細胞治療 / 線維化 / リモデリング |
研究概要 |
末期心不全患者にbridge to transplantationにてLVAD(左心補助人工心臓)を装着するも、一部の症例ではLVADによるunloadingによるreverse remodeling作用により自己心機能が回復する症例が存在する。すべての症例において自己心は回復することはなく、responderとnon-responderが存在することが明らかになってきた。LVAD装着後、心機能が回復しLVAD離脱に至った症例は、原疾患にかかわらず病歴が短く、心筋組織においては残存心筋量が多く、線維化が軽度のものであることが示された。LVAD離脱に至らずとも、超音波検査上、LVDd/Ds(左室拡張末期径/収縮末期径)を観察するに、線維化が軽度のものは早期に縮小し、正常に近づく傾向があった。 末期心不全を呈した虚血性心筋症の症例に対して、LVAD装着と自己骨格筋筋芽細胞と骨髄単核球を用いた再生治療を施行した患者を観察するに、やはりresponderとnon-responderが存在することが明らかとなり、細胞治療される心筋の領域に残存心筋が存在するかどうかが大きな違いであった。細胞移植では、実際には、生着する細胞は少なく、心収縮力を回復させるような心筋に分化するものもほとんどなく、心機能の回復はparacrine effectが中心であることが推察された。Responderにおいては、収縮力のみならず、拡張能も改善されており、動物実験の結果から鑑みて、血管新生をうながすVEGF、HGFなどの因子の増加が推察されている。 これらのことから、remodelingという心不全悪化の負のスパイラルからいかに早い段階で脱却するかが、心不全を食い止めるためのポイントとなる。 LVAD装着は、末期心不全治療の最後の砦であるが、同時に強力なreverse remodelingをもたらすものであり、早期の適応が自己心回復の鍵となるものである。
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