研究概要 |
【術中電気生理学的検査】 心房細動を有する心疾患患者の開心術において,神経節の集中している部位を術中にマッピングし,同時電位の解析を行うためにマッピングプローベの新規開発を行った.解剖学的に心房上の神経節が集中している心房間溝下大静脈よりと右房後面の冠静脈流入部付近に脱着可能となるよう吸引力を利用した74極型の電極と10極型の電極を別々に開発した.臨床応用に際し,電極とアンプ(既存)の接続部位に変換コネクタが必要となりこれを新たに開発する必要があったが,これを委託した企業の内部事情により納期が大幅に遅れた.ようやく電極とアンプ(既存)の接続が可能となったが,この時点でアンプ(既存)に不具合があることが判明した.アンプの修理・新設には膨大な予算が必要とされ,本研究費の範囲内では到底まかなえるものではなく,臨床応用を断念せざるを得なかった. 【臨床成績の検討】 以上のように新たな電極によるマッピングは不可能となったが,心房細動を有する心疾患患者の開心術において,現在最も低侵襲で効果的と思われる電気的隔離線を有した改良型メイズ手術と除神経節術を施行し,通常の臨床現場でも測定可能な電位パラメータと術後の電気生理学的検査,退院後の経時的追跡調査は継続して行い,心房細動消失の有無を初め,心電図所見の推移や心機能の推移を調査し報告した.心房マッピングを行わなくても心房電位パターンが推定できる鑑別法を臨床データから考察し,術前診断に沿った心房細動のオーダーメード外科治療とその低侵襲化を目指してゆくべく,データを蓄積・解析した.
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