研究課題/領域番号 |
20591652
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
岡嶋 研二 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60152295)
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研究分担者 |
原田 直明 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (00309915)
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キーワード | ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド / 知覚神経 / カルシトニン遺伝子関連ペプチド / 脊髄障害 / アポトーシス / インスリン様成長因子-I |
研究概要 |
ラットの虚血性脊髄障害モデルを用いて、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドが、知覚神経を刺激して、傷害組織のインスリン様成長因子-I(IGF-I)の産生を促進するか否かを検討するために、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプ(CGRP)チドを投与したラットの脊髄組織のIGF-I濃度を測定した。その結果、カルシトニン遺伝子関連ペプチドの濃度がピークに達する脊髄虚血再灌流後60分で、IGF-I濃度がピークに達した。ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド投与によるIGF-I濃度増加は、動物をバニロイド受容体-1活性化阻害物質であるSB366791、およびCGRP受容体の阻害物質であるCGRP8-37で前処置することで、有意に抑制された。これらの事実は、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドは、ラット脊髄虚血障害モデルで、障害局所の知覚神経を刺激することで、IGF-Iの産生を促進する可能性を示している。 脊髄血再灌流後に障害局所では、脊髄前角の神経細胞のアポトーシスが認められる。ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド投与は、神経細胞のアポトーシスを有意に抑制した。ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドによるアポトーシス抑制は、動物をSB366791、CGRP8-37、および抗IGF-I抗体で前処置すると認められなくなった。IGF-I投与は、虚血性脊髄障害モデルにおける運動麻痺、炎症、および脊髄前角のアポトーシスを抑制した。これらの事実は、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドは、虚血性脊髄障害局所のCGRP含有ニューロンを刺激し、IGF-Iの産生を促進することで、炎症、および神経細胞のアポトーシスを抑制することで、運動麻痺を改善する可能性を示す。
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