研究課題/領域番号 |
20591654
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
岡村 吉隆 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80245076)
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研究分担者 |
前田 正信 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80181593)
和気 秀文 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50274957)
本田 賢太朗 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (60508018)
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キーワード | 冠動脈バイパス術 / グラフト波形 / 高速フーリエ変換 / グラフト不全 / トランジットタイム血流計 |
研究概要 |
冠動脈バイパス術(CABG)におけるグラフト開存率は患者の予後に大きく影響を与えるが、これを予測することは困難である。近年、トランジットタイム血流計は使用方法が簡便でありグラフト開存予測に有効であると報告されている。しかし、冠動脈自体の性状によりどのように波形が変化するかはいまだ不明である。我々は以前から、高速フーリエ変換を使った分析でグラフト波形を定量分析できることを示してきた。今回は実験動物でバイパスを吻合後に冠動脈を狭窄・閉塞させて、動脈の狭窄率と波形の変化について調査した。冠動脈狭窄度が低い場合、術後にflow competitionを来すことがあるが、これまではflow competitionを予測することは困難であった。グラフト血流波形を高速フーリエ変換したフーリエスペクトルの高周波成分は冠動脈狭窄度が高くなるほど減少したが、従来のグラフト開存指標であるグラフト平均血流量、グラフト拍動指数には変化がなかった。今回の実験によりブラフト波形を高速フーリエ変換したフーリエスペクトルの高周波成分が高値を示す場合はflow competitionを来すことが示された。高速フーリエ変換を用いたグラフト血流波形分析は従来の開存指標では評価できなかったグラフトの状熊も評価できる可能性があり、より有用なグラフト開存指標である可能性を示すことができた。同様の解析を臨床におけるCABG施行238症例において施行したところ、術後にグラフト不全を来した症例ではフーリエスペクトルの高周波成分が高値を示しており、実験結果との整合性が確認された。CABG術中のグラフト血流波形を高速フーリエ変換で解析することで、術後のグラフト不全をより高精度に予測できる可能性があると考えられる。
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