研究課題
本研究の目的は、左心房容量負荷モデルと双極高周波焼灼装置を用いて、肺静脈隔離の心房細動発生予防効果を明らかにすることにある。実験モデルとしては、我々が独自に開発した左心房容量負荷モデルを用いた。雑種成犬を用いて肺静脈鎖骨下動脈-肺動脈シャントによる左心房容量負荷と左心耳高頻度刺激を行い、持続性心房細動を誘発した。シャント造設と同時に双極高周波焼灼装置を用いて左右の肺静脈を左心房から電気的に隔離し、4週後に心房細動の停止効果を検討した。左右心房全体の心房興奮伝播様式を256チャンネル3次元動的マッピングシステム用いて検討した。左心房容量負荷モデルを作製すると同時に左心耳高頻度刺激を行って持続性心房細動を作製し、4週後に双極高周波焼灼装置を用いて左右肺静脈隔離を行い、心房細動の停止効果を検討するとともに肺静脈隔離の前後で左右心房全体の心房興奮伝播様式も検討した。昨年度の実験では、イヌの肺静脈と左心房の解剖学的特徴から肺静脈から左心房への移行部での電位記録が不完全となり、電極の形状に改良を加える必要があることが明らかとなり、シリコンプレート多極電極を改良作製した。本電極は単極電極と双曲電極からなり、興奮伝播の解析と局所電位の解析が同時に可能である。本電極を用いて電位記録をおこない、心房興奮伝播を検討した。実験の結果、肺静脈に発生した巣状興奮は、肺静脈と左房間に作製した伝導ブロックのため左房には伝播しないことが明らかとなった。得られた成果はすでに一部を学会にて発表したが、現在すべての結果をまとめて論文を作成中である。
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Innovations
巻: 5 ページ: 74-83