研究課題
ミニブタ供給元のブタの予定外のサルモネラ感染による、供給困難のため、前臨床大動物実験モデルとして、実験動物を予定のミニブタからビーグル犬に変更して肺移植実験を開始した。実験方法は、実験動物の変更以外は、研究計画に従って施行した。しかしながら、実験動物の温虚血傷害が予想以上に強く表れ、研究計画で予測されたデータは充分には得られなかった。一方、本年度のイヌ肺移植実験の結果から、心停止の方法の違いにより、肺傷害の出方に差異が認められることが、判明したため、プロトコールの修正を目的とした予備実験として、ラット肺を用いて、心停止法の違いによる保存肺の状態を検討した。実験は、心停止の方法の違いにより、ラットを(1)KCl投与群、(2)心室細動群、(3)換気停止群の3群に分け、それぞれの方法で心停止を起こした後、60分間の温虚血を与え、虚血後の肺の状態の比較検討を行った。評価は虚血後肺の肺動脈から50mlのトリパンブルー色素を投与し、組織灌流状態を評価した。また、虚血後肺を体外循環回路に接続し、60分間の再灌流を行い、肺機能の評価を行った。その結果、KCl投与群、換気停止群では、心室細動群に比べ、有意に肺の再灌流が不均一であり、微小循環の傷害が推測された。この研究成果は、本年度の日本移植学会総会等で報告した。また、来年度パリで開催予定の国際心肺移植で発表予定である。この予備実験の結果を基に、実験プロトコールに修正を加え、イヌ肺を用いた肺移植実験を再開し、薬剤吸入効果の検討を施行中である。
すべて 2009 2008 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
J Heart Lung Transplant 28
ページ: 79-84
J Heart Lung Transplant
J Heart Lung Transplant 27
ページ: 1150-1157
http://www.thoracic-kyoto-u.gr.jp/