研究課題
昨年度に行ったラット肺を用いた、心停止法の違いによる肺傷害の相違に関する研究の結果、保存肺の生理機能、病理学的所見、肺組織のエネルギー状態において、KCl投与群、換気停止群では心室細動群に比べ、有意に傷害が強いことが判明した。また、この相違は、血管内皮だけではなく、肺サーフアクタント機能へり影響に起因することが示唆された。この研究成果は、本年度の国際心肺移植学会、日本移植学会、日本胸部外科学会などで報告した。また、英論文として国際誌に投稿予定である。本年度は、これらの実験結果を基に当初の実験プロトコールに大幅な修正を加えてビーグル犬肺を用いた肺移植実験を再開した。イヌ肺への温虚血傷害の程度に応じて、温虚血時間や肺換気時間の長さ、移植肺機能評価方法、移植後観察時間などの点において、実験プロトコールにさるに細かい修正を加えて、実験系の確立を試みた。その結果、イヌ肺の温虚血を4時間に延長し、3時間の肺冷却保存後にイヌ左肺同種移植を行い、再灌流後1時間目に対側の右肺門をクランヲし、肺機能が移植肺のみに依存する状態で再灌流後6時間まで肺機能を評価する系が確立した。この修正実験プロトコールによる予備実験では、4時間の温虚血の問、無換気のまま放置された肺は、移植後に明らかな傷害を示した。一方、温虚血4時間のうち、最後の1時間のみに人工呼吸器による換気を行った肺では、無換気肺に比べて有意に良好な移植肺機能を示した。今後、当初の目的通り、この換気時間に薬剤吸入を加えて、肺保存効果の改善か得られるかどりかを検討評価する予定である。
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http://www.thoracic-kyoto-u.gr.jp/