研究概要 |
微乳頭腺構造(MPP)を有する肺腺癌と血管新生の関連性を解明するため肺腺癌切除517例を集積し解析した。MPP陽性群は予後不良で,脈管侵襲頻度が高く,約半数にリンパ節転移が証明された。この群では,原発巣辺縁でMPPが目立ち,リンパ管,血管ならびに肺胞内に癌細胞集塊が浮遊するように存在すること,臓側胸膜浸潤と関連性が深いことが明らかとなった。VEGF-A,B,C及びVEGF-R1,2,3を用いた免染の結果, VEGF-C及びVEGF-R3ともに,MPP部分に高発現がみられた。また腫瘍間質でも,これらは高発現していた。MPP陽性肺腺癌の進展に血管新生因子が関連していることと,腫瘍接種モデルでの検討から,間質のVEGFR-1,2の動員が腫瘍進展に関与していることが示唆された。
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